2026年9月はミステリーやホラーの話題作から、名エッセイ、SNSで話題の短歌集までかなりの豊作!
横溝正史『金田一耕助ファイル1 八つ墓村』
戦国時代、落ち武者八人が惨殺されたことから「八つ墓村」と呼ばれるようになった村。大正時代には村人三十二人が殺される凄惨な事件が起こり、それから二十数年後、再び不可解な連続殺人が幕を開けます。
名探偵・金田一耕助が因習と怨念に覆われた村の謎に挑む、日本ミステリーを代表する傑作です。
原浩『身から出た闇』
角川ホラー文庫編集部から依頼された連作短編集――のはずが、作品を提出するたびに担当編集者が休職していくという異様な事態が発生。著者と編集部の主張さえ食い違うなか、本そのものを取り巻く現実とフィクションの境界が次第に揺らいでいきます。
【読了メモ】角川ホラー文庫編集部と作者の打ち合わせシーンとホラー短編が交互に描かれ、途中で『身から出た闇』の意味に気づいたときのゾワゾワ感がたまりませんでした。現実がフィクションに侵食されていく感じ……ホラーです!
浅倉秋成『六人の嘘つきな大学生』
急成長中のIT企業の最終選考に残った六人の就活生。協力して内定を目指すはずが、突然「六人の中から一人の内定者を決める」という課題へ変更されます。さらに一人ひとりの罪を告発する封筒が見つかり、仲間だった六人の嘘と秘密が次々と暴かれていきます。
阿刀田高『コーヒー党奇談』
旅先で出会った不思議な出来事を、東京、大阪、沖縄、京都などさまざまな街を舞台に描く短編集。アムステルダムのカフェで交わした約束が十年後の東京へつながる表題作など、旅情と奇妙な味わいを楽しめる全12編が収録されています。
阿刀田高『ナポレオン狂』
自分をナポレオンの生まれ変わりだと信じる男と、ナポレオンの遺品を完璧に集めようとするコレクター。そんな二人を引き合わせたことから始まる表題作をはじめ、奇妙な発想と鮮やかな結末を楽しめる短編集です。表題作は直木賞を受賞しています。
阿刀田高『冷蔵庫より愛をこめて』
日常の中に潜む恐怖や人間の欲望を、ブラックユーモアたっぷりに描いた阿刀田高の初期短編集。病院から戻った男を待ち受ける奇妙な出来事など、笑いのすぐ隣にぞくりとする怖さが潜む全18編を収録しています。
西澤保彦『死者は黄泉が得る』
死者を甦らせる装置が存在する謎の洋館。そこでは生前の記憶を失った「生ける屍」の女性たちが暮らす一方、隣町では美女をめぐる不可解な連続殺人が発生します。二つの奇妙な出来事がどう結びつくのかを追う、SF的設定と本格推理を融合させたミステリーです。
【読了メモ】西澤保彦作品、とても面白くてハマりそう…! SF的な要素がありつつもリアルで、グイグイ先を読ませてきます。人間ドラマがあるのも好きポイント。こういう小説をたくさん読みたいです。
西澤保彦『殺意の集う夜』
嵐によって山荘に閉じ込められた万理と園子、そして見知らぬ怪しげな人々。深夜、男に襲われた万理は思わぬ形で彼らを次々と死なせてしまいますが、逃げ込んだ先では園子まで死体となっていました。怒濤の展開の先に驚愕の真相が待つミステリーです。
西澤保彦『複製症候群』
突如空から現れた、触れた者を複製してしまう七色の光の幕。その幕によって密閉された空間で、進学校に通う少年たちが凄惨な連続殺人に巻き込まれていきます。極限状態と奇抜なSF設定を掛け合わせた異色のミステリーです。
澤村伊智『ぼぎわんが、来る』
幸せな新婚生活を送っていた田原秀樹の周囲で、正体不明の怪異が起こり始めます。それは亡き祖父が恐れていた化け物「ぼぎわん」の仕業なのか。家族を守るため霊媒師・比嘉真琴の力を借りながら、凶暴な存在へと立ち向かうノンストップホラーです。
高殿円『上流階級 富久丸百貨店外商部』
高級住宅街・芦屋を舞台に、百貨店の外商員として働く鮫島静緒がセレブたちを相手に奮闘するお仕事小説。月1500万円というノルマを課された静緒は、人脈と行動力を駆使しながら顧客のさまざまな要望に応えていきます。
江戸川乱歩『わが夢と真実~江戸川乱歩全集第30巻~』
江戸川乱歩が故郷や家族、少年時代から自身の内面まで赤裸々に語ったエッセイを収録。同性愛への関心や残虐への郷愁、海外ミステリー作家についての評論など、小説とはまた違った角度から乱歩という人物の世界を知ることができます。
阿刀田高『ミステリー主義』
短編小説の名手・阿刀田高が、デビュー当時の思い出や創作の裏話、名作についての評論などを綴ったエッセイ集。旅先での体験やジョークの磨き方、独自のことわざ考現学なども収録され、小説家の頭の中をのぞくような楽しさがあります。
向田邦子『新装版 夜中の薔薇』
気に入った手袋が見つからず、風邪をひいても妥協しなかった22歳の冬。そんな自身の半生を率直に振り返りながら、日々を生きる人々の姿を優しい眼差しですくい取った、向田邦子最後のエッセイ集です。
水町春『微炭酸短歌』
恋や青春の一瞬を31文字に閉じ込めた、SNSでも話題の短歌集。好きな人との距離や、会いたい気持ちなど、現代の恋愛の機微をみずみずしい言葉ですくい取ります。
今月の選書以外に読んだKindle Unlimited対象作品
栗本薫『優しい密室』
栗本薫の名探偵・伊集院大介シリーズの長編小説。女子高で発見された不審な男の他殺死体。しかも、現場は密室状態でーー。
たまたまAmazonのおすすめ欄に出てきて、興味をひかれた女子青春ミステリー。「あれ、これはかつての自分かな?」と思うくらい思春期の葛藤や焦燥感が思い出されました。
栗本薫『絃の聖域』
名探偵、伊集院大介が初めて登場する大長編本格ミステリー。JUNEの親、栗本薫ワールドらしい少年愛あり、その他の禁断愛あり、耽美で壮絶な愛想劇物語でした。
舞台は、人間国宝が率いる長唄の家元。第一の殺人が邸内で起こり、刑事たちが動機を探る中で、おどろおどろしい人間模様が明かされていきます。
森晶麿『M博士の比類なき実験』
“究極の美”を求める天才美容外科医が所有する孤島で発見された首なし死体。美男美女の間で巻き起こる疑心暗鬼と、さらなる悲劇ーー。
栗本薫『身も心も 伊集院大介のアドリブ』
美しき天才ジャズ奏者を悩ませるストーカー紛いの脅迫状。名探偵の伊集院大介が見守るなか、ついに殺人がーー。
脅迫状を受け取る美青年サックス奏者・矢代俊一は、栗本薫のヤオイ寄りシリーズの主人公で、伊集院大介とのクロスオーバー。矢代俊一の青春小説『キャバレー』を遠い昔読んだ記憶があり、伊集院大介に事件を依頼する長編小説があると知って大興奮!
秋の夜長、次に読む一冊をKindle Unlimitedで
ミステリーやホラーを中心に選んでいたら、気づけば15冊。さらに今月は阿刀田高さんや西澤保彦さんなど、気になる作家の作品がまとめて対象になっていて、何から読もうか迷うほどのラインナップです。
一方で、向田邦子さんのエッセイや『微炭酸短歌』など、物語とは違った言葉の世界を楽しめる本も。まだまだ暑さの残る9月ですが、少しずつ夜が長くなる季節のお供に、気になる一冊を見つけてもらえたらうれしいです。
\まずは30日間の無料体験/
※Kindle Unlimited対象作品は時期によって変更される場合があります。 ※無料期間中に解約すれば料金は発生しません。
※今回ご紹介した作品は、記事公開時点(2026年9月)でKindle Unlimitedの読み放題対象作品です。
※Kindle Unlimitedの対象作品は随時入れ替わります。ほかの作品も対象状況が変わる場合がありますので、読み始める前に最新情報をご確認ください。
Kindle Unlimitedおすすめ本バックナンバー
気になる月のラインナップはこちらからどうぞ。
※Kindle Unlimitedの対象作品は随時入れ替わります。話題の小説など、1ヶ月ほどの期間限定で読み放題になっていた作品もあるため、バックナンバー掲載作品が現在も対象とは限りません。


