2023年3月1日(水)発売のアシェット「江戸川乱歩と名作ミステリーの世界」2号を読み終えました。1号に引き続き、江戸川乱歩の短編作品が収録されています。

初めて読んだ作品のなかにお気に入りを見つけて、江戸川乱歩の名作ミステリーを楽しむという点では大満足。ただ、仕様的に解説やリーフレットがついてくるわけではないのがちょっぴり残念でした(4号以降は追加料金を支払うと特別動画が観られるとのこと)
アシェット2号は江戸川乱歩の短編8作品を収録
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「江戸川乱歩と名作ミステリーの世界」2号の収録作品(あらすじ)をまとめておきます。
D坂の殺人事件
名探偵明智小五郎の初登場作品。D坂で起きた密室殺人事件を扱う短編。
心理試験
「D坂の殺人事件」に続く偵明智小五郎シリーズ2作目の短編。最初から犯人が明かされている倒叙(とうじょ)ミステリー。
二癈人(にはいじん)
湯治場(とうじば)で意気投合した男ふたりの話。一方が過去に犯した犯罪について告白をはじめると、思いもよらない真実が判明する。
断崖(だんがい)
断崖のそばのベンチに腰掛け、語り合う男と女。罪を自覚する女には、男に問いたださねばならないことがあった。
お勢登場
不貞の妻おせいに離縁を切り出せない気弱な夫・格太郎。息子たちに付き合って、かくれんぼをしている最中、長持(ながもち;木箱のこと)に閉じ込められてしまい…。
双生児ーある死刑囚が教誨師(きょうかいし)にうちあけた話ー
執行の日が近づく死刑囚が、妻に伝えてほしいことを教誨師に打ち明ける。彼には、完全犯罪を遂げられてしまうほど瓜二つの双子の兄弟がいた。
人でなしの恋
主人公の京子は、美しく優しい門野と見合い結婚をする。最初は門野の優しさに有頂天になっていたが、次第に夫の愛はまやかしだと気づく。京子は一目でも、夫が愛する人を見たいと行動を起こす。
踊る一寸法師
あるサーカス団の一員で、いじめられっぱなしの一寸法師の話。その日も散々な目に合わされながら、一寸法師は笑っていた。
マイベストは断トツで「断崖」そのほかお気に入りは3作

本書で初めて読んだ「断崖」という短編が、後味も込みでお気に入り。一組の男女の会話で成り立つストーリーで、愛と金を背景にしたシンプルな筋がクリスティを彷彿とさせます。
次に「人でなしの恋」は、京子の視点から膜を張ったように当事者たちの恋のモヤを感じる部分に妄想…想像力が掻き立てられます。直接的でない分、ストーリーに奥行きがある感じ。
「踊る一寸法師」は、シンプルに怖い! いじめが陰湿でツラいというのもあるけれど、オチに心底ぞわっとします。文章が淡々としてるから、余計に恐怖感が増していく…。
「二癈人」は、自覚のないまま悪事を働いてしまう夢遊病者のお話。なのですが、どちらかというと本筋より湯治場にいる男ふたりの関係性が気になりました。結局、どういうことなんだ?
もっと江戸川乱歩を読んでみたいなとなったところで、3号は夢野久作の「少女地獄」。ネットでほんのりあらすじを読んだところ面白い予感しかありません。さっそく書店で入手してきます( ´∀`)
