暴走したAI人形が引き起こす惨劇を描いたスリラー映画『M3GAN(ミーガン)』。
Amazon Primeでサブスク解禁になっていて、リビングならイケる! と観てみたら、面白くて大、大、大満足。映画館でパンフレットあったら即買ってたレベルでした(あったんですかね?)
【あらすじ】対象者を守るためなら殺人も……暴走をはじめたAI人形
2022年公開、アメリカのSFホラー映画。
監督はニュージーランド出身のジェラルド・ジョンストン。製作はジェイソン・ブラム、ジェームズ・ワン。
主人公は、おもちゃ会社でロボットを開発する優秀な研究者ジェマ。姉夫婦が不慮の事故で亡くなり、姪のケイディを引き取りますが、未婚で研究に打ち込んできた彼女にとって子どもと信頼関係を築くのは至難のわざ。
そんななか、ジェマはケイディの言葉をきっかけに、子どもにとっては最高の友達、親にとっては最大の協力者になるようなAI人形「M3GAN(ミーガン)」を形にしていきます。
ミーガンの存在で再び笑顔を取り戻したケイディ。ジェマもミーガンの開発で研究者としての成功をおさめるかと思われた矢先、“彼女”は子ども(ケイディ)を守るためなら手段を選ばない殺人人形へと暴走をはじめたのでした……。
暴走する美少女AI人形と“彼女”に依存していく子ども
まず思ったのが、分かりやすく面白いストーリーということでした。
超ハイスペックなAI人形であるミーガンは、暴走を始めるまではまさに夢のような存在でした。
ほかのおもちゃはもう何も必要ない、というくらい「子どもにとって最高の友達」であるミーガン。ケイディがあっという間に夢中になるのも無理はなく、“依存”するまでの時間がゾッとするくらいに早かったです。
それが今問題になっているスマホ中毒やゲーム依存症を思わせもして、大人の言うことを聞かないでミーガンに夢中、生意気で怒りっぽくなる、そして“彼女”を取り上げようものなら手のつけられない癇癪を起こす……
一方、自ら学習していくAI人形のミーガンは「あらゆる出来事からケイディを守るように」という指示に対して暴走を見せ始めます。
所詮……というのもおかしいですが、「毎日殺人ならいくらでも起きているじゃない」というミーガンのロボットらしい考え方や合理性は、どんなに人間にそっくりでも魂や心を持ち得ない存在なのだと思い知らされます。
そんなAI人形に愛着を寄せる子どもという構図がまた恐ろしい。子どもが生身の人間ではない相手と仲良くなるという意味で、イマジナリーフレンド(空想上の友達)も近しい距離にあると思いますが、どこまで深く相手を覗き込んでも実態がないおぞましさをAI人形には感じます。
▼イマジナリーフレンドもののホラー映画
閑話休題(語り残し)
・見終わったあと、スリラー映画の『ゲット・アウト』が好きならこれもハマりそう。と頭に浮かんできて、そりゃそうなんですが何でだろう……と思ったら本作の主人公ジェマ(アリソン・ウィリアムズ)って、ゲット・アウトで主人公を不条理な世界に連れていく恋人役だったんですね、無意識こわい!
・ミーガンの標的になった相手に「どうして???」と思う部分があったのですが、他の方の考察で納得のいくものを見つけました。そう思うとすべてが伏線になっているのだなあ……と、時間に制約があるからこその映画の無駄のなさ、完成度に面白さを感じました。
・人間に似ていることで親しみがわくけど、似すぎているとかえって恐怖や嫌悪感が起こるという「不気味の谷」現象。ミーガンにもまさしくそれを感じるんですが、子ども(ケイディ)がその気配もなく無邪気に友愛を示していくところがまた感覚的な違いで怖かったです……
・続編の製作が決まっている、というのが心踊るニュース! 正直、1作目を超えてくるストーリー的な面白さはなさそうだけど、この世界観をまた味わえると思うと期待がふくらみます。思えば、ホラー映画なのに(?)恋愛とかが一切絡んでこないところも好印象。次こそ映画館で見れるカナ?