SNSでフォローしている翻訳家さんの紹介ツイートで気になっていて、アマゾンで予約注文していた「BOSSY」(N.R.ウォーカー、訳:冬斗亜紀)。
良質なものが読みたい読みたいと思いつつも、M/M作品がすっかりご無沙汰でめちゃくちゃ楽しみにしてたら期待をはるか超えてよかったです。ちょっと寝不足になりそうだけど、ビール片手に最高の夜でした。
舞台はシドニー、ゴージャスでロマンティックな恋物語
一夜限りの相手がいれば十分と28歳まで生きてきたマイケル・ピアソン(スーツが似合う金髪美形)。いつも通りにバーで品定めした名無しのイケメンと熱い夜を過ごすと、それが期待以上で2度目の約束を交わしてしまいます。
名無しのイケメンことブライス・シュローダー(長身で褐色髪のイケメン)は、実はシドニーで知らぬものはいないホテルグループ創業者の息子。彼もまた本気の恋をしたことがなく、叶えたい夢に向けて猛進中だったはずが、マイケルのことが気になって仕方がなくーー。
ブライスが超お金持ちであるのはもちろん、マイケルも不動産会社でトップクラスの営業マンというかなりのハイスペ男子。そんなふたりだからこそ、周囲の環境や暮らしぶりも華やかで夢心地の読書体験は確約済みです。
顔面もスペックも最強のふたりが、相手に惹かれている自分に戸惑い、相手の言動に一喜一憂し、端からみたら「はよくっつけや」というもどかしい駆け引きをしている一連の流れ…もうにやけが止まりません。
ハイスペイケメン同士の恋というと、アメリカ大統領の息子と英国の王子(!)というビッグカップルを描いた「赤と白のロイヤルブルー」(ケイシー・マクイストン)がBL界隈のみならず恋愛小説として話題になりましたが、私は断然BOSSY派です。
赤と白~は大学生あたりの若い子たちの恋愛事情だったせいか、青臭さが妙に小恥ずかしかった記憶があり…(それでも読み出したときの興奮というか面白さは今でもはっきり覚えていますが)。その点、BOSSYはもっと大人で恋と現実のバランスをとろうとお互いが努力しているところに好感がもてました。
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そもそもM/Mとは
念のため説明しておくと、本作を含むモノクローム・ロマンス文庫は、M/M小説の翻訳専門レーベルです。いわゆる海外BL小説が日本語で楽しめます。
母体である新書館の公式noteでレーベルについて詳しく紹介されているので気になる方はぜひこちらを(外部リンク飛びます)
個人的には日本のBL小説とM/Mというジャンルは別物と考えていて、地の文でじっくりゆっくりとストーリーを読ませてくる作品が多い印象。男性同士の肉体的な結びつきよりも、心で通じ合う過程に焦点があたっているような感じです。
名もなき気安い関係から愛に至るまで
名前なんか知らないままでいい。ミステリアスだからとか映画っぽいからってことじゃない。単に、知らなければ話が単純になるからだ。
最初は連絡先はおろか、互いの名前すら明かさず気楽な関係を続けようとするふたり。求め合う様子は野獣めいていたのに、互いの心が通い合うにつれ、行為そのものの頻度がかえって減っていくところが「本作最高。」と思うポイントです。
最初はセッ○スしたいという欲望でギラギラとしていたけど、後半でのそういうシーンで抱き合うでも求め合うでもなく「今、愛し合っているのだ」という字の文が出てきたときはぐっと胸が熱くなりました( ;∀;)