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その探偵、鼻につくか愛すべきか。「黒死館殺人事件」(小栗虫太郎)読書感想文

江戸川乱歩 名作ミステリーの世界 黒死館殺人事件 小栗虫太郎 感想
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夢野久作「ドクラ・マグラ」、中井英夫「虚無への供物」に並ぶ日本探偵小説の三大奇書のひとつ、小栗虫太郎の「黒死館殺人事件」。

とにかく難しいというのは知っていて覚悟して読みはじめて早1ヵ月。最後のページを読み終えた今でも、理解が置いてきぼりのまま…挫折感というかたぶん2周目してもよく分からないんだろうなあという悟りの境地です。

ドグラ マグラ 感想
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あや
あや
わざと理解させまいとしているのではないかと不安をかきたてられた「ドクラ・マグラ」のほうが、よっぽど読みやすく感じました。

ペダンティックな作風と探偵ーー小栗虫太郎「黒死館殺人事件」

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降矢木(ふりやぎ)家の大城館、通称「黒死館」の住人が毒殺されるところから物語ははじまります。

その住人というのが、故人・降矢木算哲博士(元・黒死館当主)が海外から連れてきた四重奏団(カルテット)のひとり。

このカルテット4人がまた謎めいていて、算哲氏が海外から館につれてきて以来、何十年も門外不出で過ごしていたのでした……。

検事の支倉(はぜくら)とともに館へ訪れた探偵の法水麟太郎(のりみずりんたろう)は、衒学的推論で犯人をあぶり出そうとしますがーー

人間業とは思えぬ不気味は惨劇が幕を開けます。

あや
あや
捜査を共にする支倉もちょっぴりウンザリしているほどの「衒学的=知識や教養をひけらかす」法水探偵を愛せるか否かで好みが分かれそうです

理解できないもどかしさ(だれか解説して!!!)

江戸川乱歩 名作ミステリーの世界 黒死館殺人事件 小栗虫太郎 感想

ねえ支倉君、すべて不調和なものには、邪まな意志が潜んでいるとか云うぜ

不穏な空気に支配された館と、門外不出の弦楽四重奏団。10代の美しき当主。元当主の麗しき妻を模した自動人形。連続殺人を予告した黙示図。

要素だけを取り出すと、そそるほどのゴシックミステリー。まちがいなく面白いやつなんですよ……

にもかかわらず、さっぱり本筋が入ってこない衒学趣味。頭をうんとひねって、じっくり読めば解るという類のものではなくて、

それでもがんばって3ページくらい読み進めると、はたと気づくんですよね。今いりますか、その理論!

あや
あや
ものすごくクドクド話していますけど…ただ犯人の策略が狡猾だって言いたいだけ?!(みたいなことの繰り返し)

ペダンティックな作風と探偵を愛すべきととるか、鼻につくととるか。知識はすごいけど、理論に酔ってかなり遠回りをする印象なので探偵としては頭に“迷”がつくような気もします(^^;

とりあえずこれにて三大奇書制覇。ようやく次の本が読めるという安堵感が大きいです(笑)

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