大型書店をぶらぶらしていたとき、ぱっと目に飛び込んできた『地中海クルーズにうってつけの謎解き』。
帯にあった「素敵な船の旅を楽しめるコージーミステリ出航!」という言葉に心を掴まれ、試しに立ち読みしたら文章がするすると頭に入ってきて、気づけばレジへ向かっていました。
読み終えたあとに残ったのは、コージーミステリらしい爽やかさと、満ち足りた充実感。ページをめくるたびに、憧れの豪華客船クルーズを覗き見しているような気分になりました。
豪華客船で過ごす2週間の地中海クルーズへ!味わう非日常と旅気分
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主人公は、婚約者に裏切られたばかりの新米警察官レイチェル。深く傷ついているのに、ただ相手を責めるのではなく、自分の心を静かに見つめているところが印象的で、つい応援したくなるキャラクターです。
そんな彼女を豪華客船の旅に誘うのが、親友のサラ。豪華客船の看護師として働いています。
「一緒に暮らしたい」というほど仲良しな2人のやりとりは、ユーモアと温かさにあふれていて、読んでいるだけで癒されます。
そして本作、なんといっても旅情を感じさせる描写がとても魅力的。
さすが豪華客船、レイチェルが船内を朝ランする清々しいシーンや、ドレスアップして出かけるディナー(隣には気になるイケメン)、ダリの作品が売買される美術オークションなど、夢のような時間が広がります。寄港先の散策も楽しそう!
華やかな船旅の裏側に潜む、残忍な殺人計画
もちろん華やかで楽しい旅では終わりません。冒頭からちらついていた不穏な気配。乗客の不審死という形で、一気に緊張感を増していきます。
温かな友情と華やかな非日常の裏側に、残忍な殺人計画が潜んでいる。そのギャップにドキドキしながらも、テンポのよい展開にページをめくる手が止まりませんでした。
それでも最後に残るのは、コージーミステリらしい清々しい余韻。
友情に支えられて失恋の痛手から少しずつ立ち直っていくレイチェルを中心に、温かく魅力的なキャラクターたちばかりで楽しい時間を過ごせました。
シリーズは原書で13作以上が刊行されているそうで、続編の翻訳も決定しているとのこと。レイチェルとサラにまた会える日が待ち遠しいです。
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