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私の心に刺さり続ける#名刺代わりの小説10選【2025年版】

名刺代わりの小説10選 ことうの雲ゆき
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読書好きの間で人気のハッシュタグ「#名刺代わりの小説10選」。

人が選んだ10冊を眺めるのも楽しいし、自分で考えてみるのも面白いですよね。

私も試しに選んでみたのですが、これがもう大変! 何度も迷って、ようやく10冊に絞りました。

あや
あや
選ぶにあたって決めたルールは「作家1冊縛り」。このルールがないと、好きな作家ばかりになってしまいそうだったからです。

もし同じ本が好きな方がいたら嬉しいなと思いつつ、私の10選をご紹介します!

閉ざされた寮で過ごす冬、少年たちの秘密が明かされる『ネバーランド』

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  • 閉ざされた寮で繰り広げられる濃密な青春ドラマ
  • 「告白ゲーム」が生み出すミステリアスな展開
  • 読後に余韻が残る、大人になっても響く物語

恩田陸の『ネバーランド』は、伝統ある男子校の寮「松籟館」を舞台に、冬休みの間に寮に残った4人の少年たちの一週間を描いた青春ミステリー。

クリスマスイブの夜、彼らは「告白ゲーム」を始め、それぞれの過去や秘密を語り始めます。青春時代の不安や葛藤、友情の儚さがリアルに描かれた、胸に響く物語です。

「#名刺代わりの小説10選 2025年版」としてこの記事を書いていますが、正直なところ、『ネバーランド』はどんなに選び直しても外れることのない、私にとっては不動の一冊。

不倫や離婚といった大人たちの事情が物語に絡み、女性も登場しますが、基本的には寮に残った4人だけの閉ざされた世界で進行します。その空間が、より一層彼らの関係性や心の機微を際立たせています。

初めて読んだのは学生のころでしたが、大人になった今でも、彼らの冷静な眼差しで大人の世界を眺める姿に共感を覚えます。そして、著者のあとがき——「でも、今どこかでこの四人に会ったら、みんなバラバラで四人が揃うことはめったにないと思うけど、きっといい線いってる素敵な男の子になってくれていると思う。」 という一文を読むと、胸がぎゅっと熱くなります。

あや
あや
物語の続きが現実のどこかに存在しているかのように感じられるからかもしれません。

孤島の修道院、増えた少女たちの謎『聖女の島』

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  • 孤島の修道会を舞台にした幻想的ミステリー
  • 閉ざされた世界ならではの独特な空気感
  • 皆川博子ワールドを長編で堪能できる一冊!

皆川博子の『聖女の島』は、孤島にある修道会の矯正施設を舞台に、非行を重ねた少女たちの物語を描いた作品です。

売春、盗み、恐喝などの過去を持つ少女たちが、この施設で更生を目指して生活しています。そんなある日、施設の一部で火災が発生し、死者も出る事態に。しかし、その後の点呼で、28人だったはずの少女たちが、なぜか31人に増えている——。 甘美で幻想的なミステリーが、ここから静かに幕を開けます。

なんといっても、皆川博子の孤島もの! 『ことうの雲ゆき』とブログのタイトルをつけるくらい、閉ざされた世界の物語が大好物なのですが、この作品は特にど真ん中でした。

あや
あや
幻想的で甘美な雰囲気と、じわじわと広がる不穏さが絶妙で、読んでいると夢の中に迷い込んだような気分になります。

皆川博子作品はどれも大好きですが、重厚でヘビーなものが多く、なかなか再読できないものが多い……。その中で『聖女の島』は、塩梅がちょうどよく(笑)皆川博子ワールドを長編で贅沢に味わえる一冊であり、私にとって欠かせない作品です。

チューリッヒの片隅、孤独な魂が交錯する『スモールgの夜』

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  • ゲイバーを舞台にした複雑な人間模様
  • 喪失の悲しみと、そこから生まれる新たなつながり
  • 温かみのある主人公リッキーの魅力

パトリシア・ハイスミスの『スモールgの夜』は、人間関係の複雑さと孤独を描いた物語です。

タイトルにもなっている「スモールg」は、物語の舞台となるゲイの溜まり場になっているビアレストランのこと。常連客たちが集うこの店で、さまざまな人間模様が交差していきます。

物語は、主人公リッキーの恋人であるピーティが路上で刺殺される事件から始まります。犯人は未だ不明のまま——。喪失の悲しみに暮れるリッキーのもとに、ピーティを想っていた女性が現れ、奇妙な交流が始まります。さらに、美青年テディーとの出会いをきっかけに、リッキーの世界はまた少しずつ動き出していきます。孤独や人間の奇妙さについて深く掘り下げた作品です。

サスペンス要素が強そうに見えますが、実際にはハイスミスが描いたのは「人間」そのもの。特に、主人公のリッキーがとにかく魅力的なんです。

亡き恋人を想っていた女性に対しても親切に接するなど、思いやりが深く、人としての温かみが感じられます。彼の存在が、この作品の根底に流れる寂しさや孤独を和らげてくれる気がします。

あや
あや
彼がどうか幸せでいてくれたらいいなと願わずにはいられません。

新妻と元妻を一緒に招待…地獄の休暇で殺人事件『ゼロ時間へ』

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  • 前妻と新妻を同時に招待しようとするトンデモ夫の衝撃
  • サスペンスとロマンスが交錯するハラハラ展開
  • 人間ドラマとしても楽しめるクリスティの名作!

舞台は、金持ちの未亡人トレリシアン夫人の屋敷。彼女の亡夫の被後見人であるネヴィル・ストレンジは、なんと新妻ケイと前妻オードリイを同時に招待しようと提案します。

トレリシアン夫人はこの無茶な計画を渋々了承しますが、案の定、屋敷のパーティは気まずさに満ちたものに。そしてその最中、トレリシアン夫人が殺されてしまい——!

まず、夏の休暇を元妻と新妻を揃えて仲良く過ごそうとする夫という時点で、もう地獄絵図が確定。そんな修羅場に自ら飛び込むネヴィルの無神経さに、読んでいて呆れるやらワクワクするやら(笑)どんな展開になるのか、野次馬根性でページをめくる手が止まりません。

さらに、滞在客の中には、謎めいた元妻オードリイを密かに想い続ける男性までいて、どこが本当のロマンスなのか、最後までドキドキしながら読んでしまいます。そしてラストもこれまた好み。

あや
あや
クリスティには好きな作品がたくさんあるけれど、やっぱりこの 「新旧妻を同時に招待する夫」 のパンチ力が強すぎて、印象No.1。サスペンスだけでなく、人間ドラマの面白さも味わえる一冊です!
アガサ クリスティ ノンシリーズ おすすめ
人間ドラマがおもしろい!アガサ・クリスティのノンシリーズ3選【おすすめミステリー選んでみた】今回は、アガサ・クリスティのノンシリーズに絞って、個人的おすすめ3冊を選んでみました。 「ミステリーの女王」と呼ばれるイギリスの作...

クリスマスの別荘、密室の巨匠が密室状態で『46番目の密室』

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  • 火村&アリスの名コンビが活躍するシリーズ第一弾
  • 冬の別荘×密室トリックの極上シチュエーション
  • 本格ミステリーの醍醐味を存分に味わえる一冊

1991年のクリスマス、推理作家の有栖川有栖(アリス)と臨床犯罪学者の火村英生は、密室トリックの巨匠と称される推理作家・真壁聖一の北軽井沢にある別荘に招待されます。

真壁はこれまでに45の密室トリックを発表し、「日本のディクスン・カー」とも呼ばれる存在。そんな彼が、密室状態の部屋で、暖炉に頭部を突っ込んだ無残な姿で発見される——。 果たしてこれは46番目の密室トリックなのか、それとも……?

大人気の火村英生(作家アリス)シリーズの第一弾! 実は、学生アリスシリーズも大好きなので、どちらを選ぶかものすごく悩みました。でも決めきれないので、「冬の話だから」という個人的な理由で今回はこっちに(笑)

まず何よりも、火村とアリスのキャラクター性と関係性がたまらない。特に名探偵・火村の格好良さは沼。いや、言ったら学生アリスシリーズの名探偵・江神二郎もめちゃくちゃ格好いいんですけどね……!

そして、クリスマス×推理作家たちが集まる別荘というシチュエーションも最高。まさに非日常のミステリーで、読書の醍醐味を存分に味わえます。

あや
あや
これぞ、私が求めている読書体験! 本格ミステリーの魅力がギュッと詰まった一冊です。
46番目の密室 あらすじ 感想
再読しても面白い!『46番目の密室』沼深い作家アリスシリーズはここから始まった!【あらすじと感想】久しぶりに読みたくなって『46番目の密室』を手に取りました。 本作は、有栖川有栖による作家アリスシリーズ(火村英生シリーズ)の記念...

退廃と愛憎が渦巻く奇怪な連続殺人『不連続殺人事件』

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  • 愛憎入り乱れるドロドロの人間関係
  • 名探偵・巨勢博士が挑む連続殺人事件
  • クセになる退廃的な雰囲気と痛快さ

戦後間もない夏、作家や詩人、画家、女優など、さまざまな男女が山奥の豪邸に集まります。それぞれが異常な愛憎関係を抱える中、次々と殺人が発生。警察の捜査が難航する中、名探偵・巨勢博士が「心理の足跡」を追いながら、犯人と動機の解明に挑みます。

この作品の見どころは、入り乱れる男女関係! もう、めちゃくちゃドロドロしています。

正直、男性キャラクターたちの考え方には「うげぇ」となることも多いのですが、ここまで泥沼すぎると逆に痛快(笑)。クセになってしまって、気づけば夢中で読んでいました。

あや
あや
退廃的な男女たちの物語って、実はめちゃくちゃ好きかも……と気づかされた一冊です。
江戸川乱歩 名作ミステリーの世界 不連続殺人事件 坂口安吾 感想
ミステリはこうでなくちゃ!「不連続殺人事件」(坂口安吾)読書感想文戦後の日本文学作家として有名な坂口安吾が、初めて手掛けた推理小説「不連続殺人事件」。 文豪が書いたミステリというからかなり身構えて...

ゲイ作家が巻き込まれる連続殺人事件『天使の影』

  • 本格ミステリー×ゲイロマンスの絶妙な融合
  • シリーズ第1弾ながら単体でも完成度が高い
  • 「こういうのがもっと読みたい!」と思わせる中毒性

ロサンゼルスでミステリー専門の書店を営みながら、小説家としても活動するアドリアン・イングリッシュ。そんな彼の友人であり従業員のロバートが、ある日惨殺される事件が発生します。

しかもアドリアンは、事件の前日にロバートと口論していたことから、警察から疑われることに。無実を証明するため独自に調査を始めたアドリアンでしたが、自分の周囲で次々と不可解な事件が起こっていることに気がつきます——。

本作はいわゆる「M/M」作品で、ミステリー要素とゲイロマンスが巧みに組み合わさった人気シリーズ第1弾目です。

あや
あや
アドリアン・イングリッシュシリーズはすべて読んでいますが、この1冊の完成度がとにかく高い! シリーズとしても面白いけれど、私はこの1冊単体が特にお気に入り。

なかなか分厚い文庫で、本格的なミステリーを楽しめるうえに、男性同士のロマンスがちらつくのが最高。「こういうのがもっと読みたいんだよ!」と、ページをめくる手が止まらなくなった作品です。

執拗に追いかけてくるヴァン、悪夢の逃避行『ストーカー』

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  • 執拗な追跡が生む極限のサイコスリラー
  • 単なるスリラーにとどまらない感動的な成長物語
  • 「人間が一番怖い」を体現する異常愛と妄執

ディーン・R・クーンツの『ストーカー』は、当初日本で『狂った追走』 というタイトルで刊行されていたサイコスリラー。

新婚のアレックスは、11歳の義弟コリンを連れ、妻が待つサンフランシスコを目指してサンダーバードで大陸横断の旅に出ます。しかし、その旅路で一台のヴァンが執拗に彼らを追跡。最初は偶然かと思われたその影も、次第に妄執の色を濃くし、楽しいはずのドライブは悪夢の逃避行 へと変わっていきます——。

あや
あや
実は私、クーンツ作品にはちょっとトラウマ があるのですが(笑)、怖いもの見たさで手に取ったら、まさかのお気に入りの一冊に。

単なるスリラーではなく、かつての弱虫が愛する者のために強く変わっていく ビルドゥングスロマンや、義兄弟の絆としても感動的で、怖さだけじゃなく胸に響く物語でした。

とはいえ、タイトル通りの異常愛や妄執が物語の根底に流れ、まさに「人間が一番怖い」 を地で行く作品。心理的な恐怖をじわじわと味わいたい人におすすめの一冊です。

クーンツ ストーカー あらすじ
怖いだけじゃない!ディーン・R・クーンツ『ストーカー』グッとくる義兄弟愛vs異常な愛ディーン・R・クーンツの『ストーカー』。 このタイトルとあらすじを読んだとき、私は「どんなおぞましいストーリーが待っているのか……...

美しき女賊と名探偵、宿命の対決『黒蜥蜴』

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  • 名探偵 vs. 美貌の女賊、天才同士の知恵比べ
  • 敵同士でありながら惹かれ合う「愛の物語」
  • 耽美的で魅力的な黒蜥蜴という存在

江戸川乱歩の長編探偵小説『黒蜥蜴』は、美貌の女賊・黒蜥蜴と名探偵・明智小五郎の対決を描く物語です。

宝石や美しいものを狙うことで知られる黒蜥蜴は、大阪の富豪の秘宝と愛娘を狙い、その警護にあたるのが明智小五郎。天才同士の知恵比べと、乱歩らしい耽美的な世界観を存分に味わえる作品です。

今回の選書では「作家1冊縛り」 というルールを決めているので、乱歩作品はかなり悩みました。特に、退廃的な遊園地が舞台で男女関係が荒れまくっている『地獄風景』 も候補だったのですが、好きなポイントが『不連続殺人事件』と被っていたので泣く泣く外しました。

『黒蜥蜴』を選んだ理由は、やっぱりこの物語が敵同士でありながら互いの才能を認め、全力でぶつかり合う男女の、ある種の「愛の物語」 だから。お互いを倒さなければならない宿命にありながら、どこか惹かれ合う二人の関係性がたまらなく好きです。

あや
あや
そして何より、美しく激しい感情を秘めた黒蜥蜴というキャラクターそのものが好き! 彼女の美学、情熱、強さ、すべてが魅力的で、読むたびに夢中になってしまいます。
江戸川乱歩 名作ミステリーの世界 黒蜥蜴 感想
暗黒街女王の切実「黒蜥蜴」(江戸川乱歩)読書感想文名探偵・明智小五郎と美しき女盗賊の対決を描く江戸川乱歩の長編探偵小説「黒蜥蜴(くろとかげ)」。アシェットの隔週コレクション「江戸川乱歩と...

表の顔は好男子、実は連続監禁殺人犯に囚われて『寡黙な同居人』

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早川書房
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  • 監禁された女性 vs. 連続殺人犯の緊迫したサスペンス
  • レイチェル(監禁された女性)を応援したくなるストーリー
  • 詩的で不穏な文体が生む独特の雰囲気

クレマンス・ミシャロンの『寡黙な同居人』は、連続殺人犯に監禁された女性レイチェルを主人公とするサスペンス小説です。彼女を監禁しているエイダンは、誰からも親切で優しい男と思われていますが、実は恐ろしい連続監禁殺人犯

エイダンの妻が亡くなり、新たな引っ越し先で生活を始めるものの、その裏ではレイチェルの監禁生活が続いています。そんな中、エイダンの幼い娘レイチェルとの奇妙な交流が生まれ、さらにエイダンに恋する女性が暴走し始め——。ハラハラが止まらない展開が待っています。

この作品は、2024年にハヤカワ・ミステリ文庫から刊行された比較的新しい小説。書店を散策中に見つけて読んでみたら、何度でもレイチェルを励まして応援したくなる作品でした。

あや
あや
翻訳作品なので原作の雰囲気は違うかもしれませんが、不穏で詩的な文体 が、私の大好きな恩田陸作品と通じるものがあり、その点でもとても気に入っています。

何度読んでも心に刺さる10冊

自分にとって特別な10冊を選んでみました。

ミステリー、幻想怪奇、サスペンス、そして耽美な人間ドラマ——改めて並べてみると、やっぱりどれも自分の読書人生を形作った大切な一冊ばかりです。

もしかしたら、この記事を読んで「この本、私も好き!」と思ってくれる人がいるかもしれないし、「この作品は知らなかったけど、読んでみたい!」と思ってくれる人もいるかもしれない。そんなふうに、本を通じて誰かと繋がれるのも素敵だなあと思っています。

あや
あや
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!