トマス・ハリスといえば、『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士を生み出した名作家。その彼が2019年、なんと令和元年に新作を発表しています。
その名も『カリ・モーラ』。もっと古い作品かと思っていて奥付を見たら驚きました。
あや
できれば、また新作を出してほしい!(強欲)
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トマス・ハリス『カリ・モーラ』あらすじ
物語の舞台はマイアミ。主人公のカリ・モーラは、コロンビア出身の25歳の美しい女性です。
彼女は、かつて麻薬王が所有していた邸宅の管理人として働いていますが、その地下には莫大な金塊が。
カリは金塊を狙う犯罪集団の争いと、猟奇的な臓器密売商・ハンス・ペーター・シュナイダーの妄執に巻き込まれていきます。
アウトローな世界に潜む“人情”に意外とグッとくる

美貌のヒロインが、麻薬王の残した財宝の奪い合いに巻き込まれ、猟奇殺人者の妄執の的にもなってしまう——そんな王道のスリラー展開ながら、読んでみると意外と淡々としていました。
あや
サイコスリラー好きなくせに、ショッキングな描写が苦手という自分にはちょうどよかったです(笑)
それでも人体液化装置、人喰いワニ……などグロテスクな要素は満載。想像するだけでゾッとするシーンが散りばめられています。
そんな世界観の中で、意外にもアウトローな登場人物たちに”人情”を感じさせられたのが印象的でした。極限状態だからこそ、ほんのわずかな優しさが際立つのかもしれません。
とはいえ、基本的に彼らの関心は「グループ内」の人間だけ。外の人間の命は、まるで子どもの遊びのようにゲラゲラと奪われていきます……。
「猟奇殺人者VSヒロイン」の構図が好きならおすすめ!
ストーリー自体はシンプルで、文章も読みやすく一気に読めました。
ただ、ハリスの過去作と比べると「物足りない」という評判もちらほら……。肩肘張らず読めるけれど、ドキドキ感を求めると肩透かしに感じられるかもしれません。
あや
「猟奇殺人者VSヒロイン(個人)」という構図に弱い自分としては、しばらく寝かせたらまた再読したくなりそうな1冊。もしトマス・ハリスに次回作があるなら、また必ず手にとりたいです!

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