赤川次郎の長編小説を読むと、「いいエンタメを摂取しているな~」と感じます。
軽快でテンポのいい文章に、次々ページをめくりたくなる展開。登場人物たちも生き生きとしていて、「もう少しだけ読もう」が止まらなくなるんですよね。
もともと読むスピードが遅めの私でも、赤川次郎作品は長編を1日で読み切ってしまうこともあるほど。読みやすくライトな雰囲気がありながら、しっかり物語に没頭できる“エンタメ小説の強さ”を感じます。
今回は、面白くて一気読みした赤川次郎のノンシリーズ長編小説3冊をご紹介します!
毒|完全犯罪の毒が人間の欲望を炙り出すオムニバス長編
「1滴で致死量」「24時間後に発症」「検出不可能」という、完全犯罪向きの毒をめぐって描かれるオムニバス長編です。
もしそんな毒を手に入れてしまったら――。物語では、毒の存在によって人間の欲望や憎しみ、本音の部分が次々と炙り出されていきます。
題材だけ見るとかなり不穏なのですが、どこかユーモラスで皮肉っぽい空気感があるのが赤川次郎らしいところ。毒の魔力に翻弄される人々の姿が、怖さと面白さのバランス絶妙に描かれていて、一気読みしてしまいました。
殺人を呼んだ本|“事件に関わった本”が集められた不気味な図書館ミステリー
犯罪や事件に関係のあった本ばかりを所蔵する「私立野々宮図書館」。そんな不気味な個人図書館で、主人公は住み込みの管理人として働き始めます。
図書館の本を手に取るたびに起こる、奇妙で不可思議な出来事。ホラータッチの連作長編ではあるのですが、ただ怖いだけではなく、本にまつわる事件や謎を主人公たちが追っていく青春ミステリーとしても楽しめる作品でした。
クリスマス・イヴ|ホテルに集う人々の運命が交差する“グランドホテルもの”ミステリー
恋人たちで賑わうクリスマス・イヴのSホテルを舞台にした、“グランドホテルもの”の長編ミステリーです。
豪華景品付きのイベント「ミステリー・ナイト」をきっかけに、俳優、大女優、ホテル従業員、婚約中の恋人たちなど、さまざまな人々の運命が複雑に交差していきます。物語がクリスマス当日だけでなく、その少し前の準備段階から始まるのも面白いポイントでした。
明確な悪人も登場する一方で、人間の弱さやすれ違いも描かれていて、単純な勧善懲悪では終わらないところも魅力的。
「あともう少しだけ」が止まらない|夢中で読める赤川次郎作品
どの作品も読みやすさがありながら、それぞれ違った面白さが詰まっていて、「やっぱり赤川次郎ってエンタメ小説の名手だなあ」と改めて感じました。
不穏な設定の中にユーモアや人間臭さがあったり、テンポよく読ませながらも、人の弱さや欲望をしっかり描いていたり。ライトに読めるのに、気づけば物語にどっぷり入り込んでしまうのが赤川作品の魅力だと思います。
気になる1冊があったら、ぜひ手に取ってみてください。



